【野池・用水路】ビッグミノーの高速中層引きに好反応、春本番のマッディ野池にて

フィールドの状況

釣行日は2010年4月17日、フィールド到着は午前7時。朝の内はまだ厚めの上着が必要だが、昼間は20℃ほどに気温が上がる予報。日によっては10℃以上の気温差があることも多いが、こちら中国地方の各フィールドは確実にシーズンインを迎えている。

今回私が向かったのは、山間部の周囲3km程の大型野池。ここは、私にとってのホームフィールドと言って良いほど、年間を通してよく通う場所である。個体数が多く、サイズは平均40cm以上、さらに超大型も期待できる場所。当然人気のあるフィールドで、平日でもアングラーの姿が絶えない。この日も既に2艇の先行者がボートで浮かんでいた。

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アングラーの多さからフィッシングプレッシャーはそれなりに高い。しかし、難易度自体はそれほど高くない。地元の方を中心に、魚を大切に扱っていることの現れだろうか。とにかく、良い釣果を約束してくれる、とても素晴らしいフィールドである。

水質は冬を除き年間を通して濁りのあるマッディなもの。この日も当然見覚えのある薄茶色の水だ。また地形特徴としては、上流やインレットには小規模なシャローエリアが付属するが、それ以外の地形は急深なショアラインが占めている。したがって、基本的にはブラインドの釣りがメインとなる。

周囲の木々の色はまだ薄く、春と言ってもフィールドから感じられる生命感は少ない。しかし、このフィールドにおいて例年の4月中旬というのは、産卵期はすでに始まっている、もしくは終わりを迎える頃である。直近の様子は不明だが、自身のレコードクラスを狙うには最高の時期。澄んだ空と肌寒い風も私の期待を煽る。

さて。到着後、護岸の空気をしっかりと吸ってから、急いで出船準備を整える。4月中旬、フィールドの実際はどんな様子であろうか。

 

春のマッディ野池、メインとなるタックル戦略

まず選択するタックルは、この濁った水質を考慮した上で、ハードプラグをメインとする。

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ビッグミノーは、このフィールドのパイロットルアーとして抜群の実績を誇る。今回は、春のじゃれ付くようなバイトを拾うために、3フックをセット。腹部にフックハンガーを採用している理由は、強度を上げるための他、状況によりフックアイを直通ししたいからである。産卵期によくあるアタックバイトを掛けるには、それぞれのフックの遊びをできるだけ少なくすることが、一つの有効な手段である。状況を見て、フックの接続設定を調整する。

また、赤黒のフェザーは濁った水質でも抜群のアピール力を誇り、赤のアクセントで魚の目を激しく挑発するため。ルアー全体のボリューム感も増すこともあり、より広範囲の魚にアピールできる。

ノイジーは、ピンポイントにおけるショートアクション用に。特にこのフィールドでは、ショアラインが急深なことを前提に、短い移動距離での派手なアピールが鍵となる。立ち木周りやハードボトムを覆うオーバーハングへ。この季節では、トップウォーターへの反応も高まるため、そのド派手なバイトを期待する。

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既に先行するアングラー達は、早くもバックウォーターを目指しているところ。私のスタートはまず、未だ手の付けられていないと思われるエリア、フィールドの最西端から。時計回りにフィールドを巡る。最終的にはバックウォーターを折り返し、フィールド全体をくまなく巡る予定だが、果たして。

ビッグミノーを中心に、時折ノイジーを織り交ぜながらショアラインを撃っていく。さあ、来い。キャスト一つひとつを丁寧に、春のビッグバスを探す。

 

決して簡単な状況ではないが、高反応なシャローエリア

早々のバイトを期待したものの、濁った水から魚の応答は全くなく。気づけば釣行開始より2時間を経過、上流エリアへ突入していた。

やはり、4月に入ってからの気温の乱高下は、フィールドへも厳しい環境をもたらしたのだろう。他のアングラーとすれ違う際に様子を簡単に聞いてみるが、私と同じ状況のようだ。アプローチが間違っているのか、単純に時合いなのだろうか。水温は15℃を越えており、基本的な要素は問題ないと思われるのだが。

と、間もなく最上流部へ到着。すると直後に、ようやく本日のファーストバイトが。

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アウトベンドでバックウォーターからの緩んだ流れが当たる場所、水深はシャローエリアの2mライン。表層に現れたミノーに『トンッ』とルアーごと押すようなショートバイトであった。これは、フッキングまでは至らなかった。しかし、今日のコンディションが決して悪い訳ではないと、確信が十分持てるバイトであった。今日はいいぞ、と予感させた。

すぐさま、近くの同じ条件のコースへルアーを通す。今度はミノーを止めず、ゆっくりと表層に波形が残るよう泳がしてみる。

『トンッ』

再び同じ様子のバイト。水面に荒れた波紋が立つのと同時に、グリップにもバイトの余韻が少し残る。しかし、また乗らない。先ほどより明らかに良型の個体だったが。ネストに張っていたのだろう、典型的な体を当ててくるようなバイトだ。「おしいな、乗らない」。気分は高揚しながらも、少々焦る。

その後、同エリアではバイトが多発する。それはまさに、産卵の最盛期を感じさせる様子だった。しかし、どれもフッキングまで至らない。フックのセッティングを変えたり、ルアー自体のボリュームを落としたりと、アプローチをいろいろと変えて探ってみるが、ティップに僅かな重みが生じるのみである。さて、どうしたものか。

 

高速中層引きにシフト、直後にビッグバスがヒット

足下には多くのネストがあるのだろう。当初は激タフな状況を予感させたが、フィールド、魚のコンディションともに想像以上に良さそうだ。あとは私の工夫次第。意外なほどの高活性を知り、アプローチをがらっと変えてみる。

ミノー投入後に、今度は中層を高速引き。バスの縄張り意識を刺激するのではなく、ベイトを必死に追わせるイメージで。極端に早い動きを演出し、バスのハンティング本能を引き出そうと試みる。水深のちょうど真ん中あたりのレンジを、グリグリグリとハンドルを素速く回しながら、ミノーを逃がす。

そして、それはすぐさま回答があった。

『ドンッ!』

引ったくるようなバイトとともに、ティップが絞り込まれる。ようやく乗った。同時に、バットからグリップまで大きな重量感が支配する。嬉しさと緊張が一気に私の頭部を駆け巡り、異様な心拍リズムを体全体に刻み始める。これは大きいぞ。

シャローエリアでのやりとりということもあり、バスはその姿を雄大にかつ機敏に晒す。ジャンプの度に、私は膝を付いて願う。バレるな。フッキングの様子はすぐに丸呑みだとわかったが、冷静を保つことはまず不可能であった。ゆっくりと落ち着いて、ただし迅速に。この矛盾する行動をどう処理するか。それはアングラーと魚とのやりとりにおいては、永遠のテーマかもしれない。

足下に来たバスは全く衰えることなく抵抗を続ける。ドラグが滑る、サミングで止めて耐える、隙を見てハンドルを回す、再びドラグが滑る。しばらくやりとりを続け、次第にバスとの距離を詰めていく。そして、バスはゆっくりと水面に口を出し、私は下顎を掴んだ。

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やった。最高に嬉しい。ルアーは丸呑みだと思われたが、リアフックは口内で外れかかっており、上顎の外側にかかっていたと思われるフックは伸びていた。その様子から私のファイトは、歓喜が容易に絶望へと変わりうる極限のファイトであったことを知る。よかった。

針傷はなく、その美しさに目を奪われる。また、何よりそのコンディションに驚かされる。太い。まさに産卵直前の個体。ただし、そのサイズと体型から、例年なら3月頃に釣れる魚なのにな、という印象を持つ。これは、例年よりも季節の推移が遅れていることが少なからず影響しているものと思われる。水の中も例外ではないのだろう。

これから繁殖を迎える個体である。できるだけダメージのないように、写真を撮る際も水をかけ、リリースもしっかりとエラに水を当ててから行う。どうかこの豊かなフィールドをいつまでもと。

 

今日のパターンは正解か、そしてさらなるサイズアップへ

その後、さらに同エリアで同じパターンで一本を追加。

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こちらもサイズ、コンディションともに良く、ファイトも豪快であった。エリアの選択、ルアーの選択、アクションいずれも正解のようである。産卵に備え、ベイトを積極的に追っている個体達だろう。今日は、そのようなアグレッシブなバスを狙うパターンが有効なようである。

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良いリズムでバスを手にすると心にも余裕ができ、さらなる釣果を求めるようになる。自身の備える釣り方が呼び起こされ、その手段も多様化する。バックウォーターを折り返すと今度は、ハードルアーを通し切れていないポイントを丁寧に探りながら、今日の釣りを検証する。それは、ライトテキサスリグをメインとしながら細かく探り、広く速く探ることが必要な際にはバイブレーションという戦略である。

そして、水温の上昇とともに魚の行動範囲も広がったのか、さらに反応が良くなった。

それは、中流域のオープンエリアだった。ライトテキサスを撃ちながら、帰路に向かっていた時、ふとそのオープンエリアはどのような様子なのか気になった。バイブレーションを手にして広く探ってみよう。アクションはミノー同様に中層高速引きで。通す角度とレンジを変えながら数投してみる。すると、

『ドンッ』

最初の一本より明らかに大きなバイト。そして、本日のサイズアップも間違いない。いや、バットに乗った重量感とこの強靱な走りは、自己レコードも期待させるもの。これはレベルが違う、大きい。やった、今日はそういう日なのか。一本目のことが脳裏にあり、どこか余裕があったのかもしれない。バスの暴走力は今まで感じたことがないほどのパワーであったが、それを止める自信があった。私の思うパターンがマッチしたことも気分を良くしていたのだろう。

強引に足元まで寄せ、バスがロッドを絞り込むところを、サミングブレーキで耐えようとした瞬間。

『グーッ、フッ』

ラインテンションが一気に抜ける。バレた、身切れだ。強気過ぎたやりとりが原因であろう。同時に、冷めた血液が体全体を駆け巡り、体温を瞬時に下げる。思わず頭を抱え、後悔の津波がやってくる。ヤッテモーターである。

その後、このバラしたバスがまるでこのフィールドの主であったかのように、魚の反応はなくなってしまった。気づけば釣行者も私一人となり、フィールドは静まりかえっていた。

あの引きを忘れることなど、少なくとも今シーズンは無理だろう。いつまでもバラした魚が頭を離れず、胸を不快にした。こんなに悔しいことはない。

 

グッドサイズのバスで釣行の締めくくり

時刻は午後3時を過ぎ、日は傾き始めた。肩を落としながら、護岸へ向かう。途中、なんとか気持ちを立て直そうと放ったスモラバに、本日最後の魚がヒットする。

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水深は2m程で日中はよく陽があたっていたと思われる、枯れ枝が密集したカバーへ。スピニングタックルで、入り組んだ枝の奥の奥へとスモラバを落とす。細かくシェイクすると、『コンッ』と明快なバイト、同ストラクチャー2回目のアプローチであった。

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多少の慰めにはなるか。いやいや、やはりすごく嬉しい。サイズはもちろん文句なく、その体躯も素晴らしい。私の曇った心も全て晴らしてくれるようだ。

今日のフィールド状況は、結果として非常に良かったと言えるだろう。ハイシーズンもほぼ同様の釣りが展開できるが、コンディションに限っては、この季節が一年で最も良い。したがって、今こそハイシーズンと呼ぶべきかもしれない。とにかく、釣り人を楽しませてくれる季節である。

この魚を手にした後間もなく、フィールドを後にした。次回、早期のリベンジ釣行を誓って。

【今回使用したタックル】
ロッド:エバーグリーンテムジンエアドライバー66MH
リール:メタニウムMg7(左ハンドル)
ライン:サンラインFCスナイパー(14lb)
ルアー:自作ビッグミノー(約25g)、ライトテキサス(シンカー5g)

ロッド:エバーグリーンテムジンコブラ65M
リール:メタニウムMg(右ハンドル)
ライン:サンヨーナイロンGT-R(12lb)
ルアー:自作ノイジー(約20g)、バイブレーション(14g)

ロッド:エバーグリーンテムジンブラッシュスティンガー66ML
リール:ステラ2500S
ライン:PEライン(0.6号)+フロロリーダー(8lb)
ルアー:スモールラバージグ
(ジグ:P.D.チョッパーmini(1.8g) トレーラー:TKツイスター(先端部のみ使用))

 

basstank
この記事を書いた方は さんです。
自己紹介: バス釣りが大好きで、中国地方の野池群をメインフィールドとしています。アルミボートや陸っぱりで気ままにバス釣りを楽しんでいます。

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